日本伝道の根幹③ 「羊飼いが羊を育て、羊が羊を生む」

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「日本伝道の根幹」記事の①では、「堅実に職務を果たす牧師」の重要性、②は「教会に責任と使命感を持つ信徒」の重要性を強調した。

 

これらの両者が「幸福な関係」を築いた場合、日本伝道はおおいに前進することは確実になる。

 

「幸福な関係」とは、「羊飼いが羊を育て、羊が羊を生む」という関係性だ。

 

仮に「羊飼い」を牧師、「羊」を信徒と考えてみる(もちろん、広義では牧師も主イエスの羊だが、実践的領域のことなので、仮に牧師を羊飼いとしておく)。

 

牧師は説教や牧会の職務により、信徒が「神の恵みによって癒され、自らの賜物を発揮してキリストを証しすることができる」ように導くものだ。

 

牧師はみ言葉をもって信徒を養い育て、信徒が救われるようになるばかりか、自ら伝道して新しい信徒を生み出すことができるよう、教えていく責任がある。

 

信徒は神によって救われることで、神の愛と恵みに応答していく責任をも、神ご自身から引き受ける。

 

与えられている賜物を発揮して仕えることで、より多くの人々にキリストに根差した証しや伝道をし、キリストの救いを広げていく、ということだ。

 

牧師と信徒の両者が、このような幸いな関係を築くことができたとき、教会の影響は最大限のものになる。

 

つまり、教会でなされる礼拝や諸集会によって信徒が養われ、その信徒が教会の内外で伝道し、また新たに救われる人々が導かれてくる。

 

二つの円からなる同心円を考えてみよう。

 

「内円」を教会員が救われ、養われる領域とし、「外円」を教会の信徒が関わっている地域や家庭、教会での対外的な働きの場などとする。

 

牧師は主として「内円」の部分に集中し、可能な限り信徒が救われ、成長できるよう導く。

 

内円の部分で教えられた信徒が「外円」の部分に働きかけ、人々に証しをするように導かれる。

 

結果、「外円」から「内円」へと信徒の証しにより、人々が導かれ、牧師の指導によって「内円」から「外円」へと導かれた人が成長していく。

 

以上の構造が生まれることで、「羊飼いが羊を育て、羊が羊を生む」という幸いな循環が成立するようになる。

 

ところで、現状はどうなっているだろうか。

 

「羊飼いが羊を育てるばかりか、羊をも生まなくてはならない」、もしくは「羊飼いが羊を育てることも、羊を生むこともしない」状況がある。

 

牧師が対外的、対内的な多くの働きに忙殺されて信徒を育てることをせず、結果信徒が育たないために「外円」での証しをすることもない。

 

そのため、新しい人が導かれることもなく、教会は衰退への道をひた走る。

 

一体、こういった状況のなかで、どうしたらいいのかと途方に暮れる思いになる。

 

まず羊飼いとしての牧師は、少なくとも羊飼いとして「羊を育てる」働きに力を集中する必要がある。

 

その働きを鈍くするようないろいろな課題については、しっかりと本質を見極めたうえで、手放したり、整理したり、他の人に任せていかなくては、本来の職務に時間と力を割くことができないだろう。

 

そのうえで、「羊飼いが羊を育て、羊が羊を生む」のが教会としての本来の姿である、ということをいろいろな形で、教会に忍耐強く共有していく。

 

たとえ実態としてはそうではなく、また「私の考えは違います」という信徒が多くても、「聖書の原則としてはそうなのだ」ということを、とにかく長期的に説教や牧会のなかで言い続けていく必要がある。

 

同時に、牧師自身が伝道できなくては信徒に伝道の指導もできないのは、当然のことだ。

 

牧師自ら伝道に心血を注ぐことで、「羊を生む」ことの意味や喜びを味わい、体得し続けていくことも前提として必要になる。

 

そのうえで、こうった理念や方針に従う信徒一人一人を導いて「羊が羊を生む」ことができるよう、あらゆる信仰的教育や訓練を施し、信徒が伝道できる場や環境、知識や姿勢を着実に整えていく。

 

「まずは牧師自身が伝道を体得し、それを信徒に伝授しながら巻き込み、成長を見極めて働きをも少しずつ信徒に委託していく」という道を取る以外にないと思われる。

 

こうして伝道に生きる教会、伝道できる信徒が育っていけば、教会の将来は心配することなど一つもないし、牧師の転任や信徒の世代交代もまったく恐れるには及ばない。

 

教会そのものの「伝道の実力・教会としての底力」がしっかりしているため、大枠において信仰の道を誤ることも、まずありえないからだ。

 

以上のことを「理想論」として一蹴し、片付けることもできる。事実、こういったことが容易に実現できるなら、だれも苦労などしていないし、現代の教会が危機的な状態になったりもするはずがない。

 

これらが途方もなく難しいから、だれもが悩んでいるのだ。

 

しかし、「少しでもそれに近づいていくことが望ましい」という教会の青写真としては、心のうちに持っておくことが大事だろうし、こういったイメージさえないなら、「どちらに行ったらよいのか、わからない」ということにもなる。

 

そのような青写真として参考にして頂きたい。


齋藤真行牧師の説教・牧会チャンネル

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