人としての思いを越えて、2019年度をもって自分自身が転任を経験することになった。
このことについて、神学的な吟味が必要と感じているが、「前任者」と「後任者」の関係性について、
自分が知っている限りでの「基本的ルール」を、これまでの知識や経験をふまえて、記してみたい。
これから、自分自身も「前任者」と言われる立場になったため、改めて整理する必要を感じて記したものだ。
以下の戒めは「原則」であって例外の存在を認めないわけではないが、これらについて安易な妥協してしまうことは教会にとって大きな実害をもたらしうるものであることを覚えたい。
今の時代は、歴代の牧師たちが守ってきた常識や不文律も相対化され、「それは昔の話」と言われるかもしれない。
しかし、現実的には以下のルールが守られていないために重大な危機を味わう牧師や教会もまた非常に多いことを経験的にも知っている。
ぜひ参考にして頂きたい。
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「前任者」と「後任者」に関わる基本的ルール
1 前任者は基本的に、前任地にはいかなる形においても近づかない。これは日本の教会の牧師の不文律の倫理であり、イエス・キリストの支配と秩序が教会において守られるために是が非でも必要なことである。
2 前任者はいかなる形においても、前任地の教会に個人的意見を主張してはならず、後任者の伝道牧会の妨げとなる可能性のある干渉は、一切してはならない。前任者が後任者の教会形成・牧会に個人的に意見・干渉することで、教会の前進と建設にとってプラスとなるような例は、実際的にもほとんどない。
3 前任者は前任地の教会員には、どのような形においても「牧師」という立場において連絡等を行ってはならず、必要がある時は必ず後任者を通して行う。
4 前任者は前任地の教会員からの牧会・教会に関連する相談は、いかなる形においても受けない。牧会上の相談は後任である牧師からだけ受ける。
5 前任者は後任の牧師自身の意志から出たのではない、前任地の教会での奉仕依頼は、いかなる形においても受けない。奉仕依頼があったときは、「それは後任者が願ったものか、教会員が願ったものか」を確認するべきである。
6 教会員はどのような形においても「前任地の信徒」という立場では前任者に連絡等を行わず、必要がある時は後任者を通して行う。
※後任者にとって前任者のなんらかの干渉を受けることは、牧師として委託されている召命の権威を脅かされることに等しい。前任者の方が教会員の信頼を得ているような場合は、なおさらのことである。
この点について教会員も理解がなく、人間的な思い(前任者の思い出や援助など)を優先したがために辞任に追い込まれた牧師、衰退に陥った教会は数知れないことを、胸に刻むべきである。
以上の戒めについて「薄情である」とか「人間性がない」などという意見も当然ありうるが、実際に教会で起こっていることから考えるとき、こういった原則は教会が守られ、前進していくためには必要である。