カルヴァンという神学者で私が連想するのは、パウロが語っている「固い食物」(Ⅰコリント3:2)だ。
カルヴァンの神学は、「堅固・堅実・確実」な印象を受ける。
カルヴァンの神学は、よく噛んで味わうと、非常に養われる。
信仰がふらついている人にはもってこいだ。
「堅実な安定した信仰が持ちたい」人は、カルヴァンをよく読むといいと思う。
堅固な解釈、正統な信仰の筋道を提示することにかけては、カルヴァンの右に出る者はいない。
ルターは論理的な「矛盾・否定・破れ」といったものを利用しながら神学するのが得意だ。
ルターの文章は逆説的で、読む人が読むと激しい影響を受ける。
だが、わからない人にはまったくわからない。
ルターの神学は詩的な部分があるのだ。読むと感情をかきたて、御言葉の影響力が襲いかかって来る。
しかし、カルヴァンの神学は論理的に整合性・調和性が高い。論理的に矛盾している、ということがカルヴァンには我慢できないようだ。
カルヴァンは聖書において矛盾している箇所を、丁寧に解き明かすことが上手だ。
『キリスト教綱要』は、じっくり読むべき著作だ。これに取り組めば、信仰が確実に安定してくると思う。
カルヴァンの弱点は、私見だが論理的な「矛盾」を取り除こうとするあまり、聖書の豊かさを押し殺している点ではないだろうか。
「教理的・論理的正しさ」を、「聖書の具体性」よりも高めているところがあるように思う。
だから、カルヴァンの神学にかぶれると、信仰の論理ははっきりして安定するが、同時に信仰の感情的な部分が、どうも削り取られる感じがする。「理性優位」の感がある。
しかし、カルヴァンが歴史的に最高の神学者の一人であることには変わりはないと思う。
信仰的安定を求めている人は、カルヴァンにひたすら親しんでみてほしい。