自分にとって、読むと心底ホッとする神学者は三人いる。
カール・バルト、ジャン・カルヴァン、そしてマルティン・ルターだ。
私にとって、この三人は別格だ。「わが故郷」なのだ。
働きに行き詰ると、この人々の本を手に取る。
そして、読むと必ずなんらかの導きが与えられる。裏切られたと思うことがない。
なかでも、マルティン・ルターは思い出深い。
学生のころ、律法と罪の意識にさいなまれて最低な日々を過ごしていた時があった。
あの時の自分は、いわゆる「ペラギウス主義者(自力救済主義者)」だったと思う。
自分の努力で神の御心にかなおうと思って、罪の泥沼にのたうちまわっていた。
その暗黒から私を救ってくれた教えが、マルティン・ルターの神学だった。
ルターの『ガラテヤ書大講解』を読んでいたとき、律法的な罪意識からの解放を体験した。
涙が出て止まらなかった。ようやく平安が訪れた。
ルターの神学は、「罪意識で良心を苦しめられてのたうちまわって悩んでいる人」には特効薬になりうる。
ルター自身も、こうした罪意識の泥沼から救われた人だから、その言葉には驚くべき解放の力がある。
若い世代の人たちにぜひ読んでもらいたいし、彼の神学を本質面から継承する牧師が一人でも多く起こされるように心から願っている。